こんな男に誰がした!
「研修の後、お会いできるかどうか、わからないから、改めて自己紹介しておきますね。村越グループ村越栄一郎の孫、村越真由です。よろしく、大城浩輝さん。」
やはりな、と思った。
「こちらこそ。よく俺だとわかりましたね。」
「あら、何度かパーティーでもお見かけしてますから。きっとこの中にも、親の力で、いえ、親の希望で、あなたに近づく目的の人もいるでしょうね。」
「あなたのように?」
「そう、私のように。」
「お二人さん、楽しんでいます?」
そこに、柏木桜先輩が登場した。
そして、木本克哉だ。
「香取、両手に花でいいな。」
ニヤニヤしているが、目が笑っていない。
「どうです?ここでお互いに素性をばらしては?御曹司は、パーティーに出ても、令嬢たちには興味がなかったのか、はたまた令嬢側に魅力がなかったのか、顔を見てわからないようだから。」
「私は、自己紹介すみましたけど、柏木さんどうぞ。」
「村越さん、早いわね。もうばらしたの? じゃあ、私も自己紹介しなくては。柏木観光の柏木桜です。でも、誤解しないで、浩輝さんが目的ではないから。」
「よかった。安心しました。でも、俺は、来月婚約を発表しますから。パーティーには、ぜひいらしてください。」
と言うと、村越真由は、
「知ってます。招待状が来ましたから。でも、まだ婚約だけでしょ。チャンスはあるから、私諦めませんよ。」
俺は、これから面倒なことに巻き込まれそうだと、一気に気持ちが落ち込んだ。