こんな男に誰がした!


「研修の後、お会いできるかどうか、わからないから、改めて自己紹介しておきますね。村越グループ村越栄一郎の孫、村越真由です。よろしく、大城浩輝さん。」

やはりな、と思った。

「こちらこそ。よく俺だとわかりましたね。」

「あら、何度かパーティーでもお見かけしてますから。きっとこの中にも、親の力で、いえ、親の希望で、あなたに近づく目的の人もいるでしょうね。」

「あなたのように?」

「そう、私のように。」


「お二人さん、楽しんでいます?」

そこに、柏木桜先輩が登場した。

そして、木本克哉だ。

「香取、両手に花でいいな。」

ニヤニヤしているが、目が笑っていない。

「どうです?ここでお互いに素性をばらしては?御曹司は、パーティーに出ても、令嬢たちには興味がなかったのか、はたまた令嬢側に魅力がなかったのか、顔を見てわからないようだから。」

「私は、自己紹介すみましたけど、柏木さんどうぞ。」

「村越さん、早いわね。もうばらしたの? じゃあ、私も自己紹介しなくては。柏木観光の柏木桜です。でも、誤解しないで、浩輝さんが目的ではないから。」

「よかった。安心しました。でも、俺は、来月婚約を発表しますから。パーティーには、ぜひいらしてください。」


と言うと、村越真由は、

「知ってます。招待状が来ましたから。でも、まだ婚約だけでしょ。チャンスはあるから、私諦めませんよ。」

俺は、これから面倒なことに巻き込まれそうだと、一気に気持ちが落ち込んだ。


< 38 / 63 >

この作品をシェア

pagetop