こんな男に誰がした!
情けない俺
他の新入社員は、研修を終了すると、各部署に配属された。
俺は、取り敢えず総務課に配属され、会社全体を見ていく。と言っても、雑用の毎日だ。
有賀由実が同じ総務課だった。俺がモデルだったことにこだわっていたから、できるだけ接触をしないようにしなければ。
取り敢えず村越が違う課でひと安心。別に彼女に気持ちが傾く訳ではないが、トラブルのもとは避けたい。
そんなある日、父から、社長室に呼び出された。
俺の正体がばれるではないか!
でもなぜか、課長が大きな段ボール箱を指して
「香取くん、あれを社長室まで、届けてくれ。急ぎだから。」
カモフラージュか。
俺は、言われる通り、段ボール箱を台車に乗せ、エレベーターで社長室へ向かう。
社長室に入ると、そこには、父の第二秘書の片桐さんと、木本がいた。
「浩輝、すまなかったな。今後のお前の動向を知らせておこうと思ってな。」
「俺の動向?」
「今後は、片桐から連絡が入る。総務課の課長も知っているから、今日のように動きやすいとは思うが。いずれは、片桐がお前の秘書になるから心得ておいてくれ。」
「わかりました。片桐さん、よろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願い申し上げます。それから、この木本ですが、浩輝さんの片腕になれるよう、今指導中です。何かと一緒に行動しますので、この件についても、よろしくお願いいたします。」
俺は、やはりなと予想が当たったと思った。