こんな男に誰がした!
見合い
弥生との出会いから1年が過ぎた。
俺は大学4年になった。自由でいられるのもあと10ヵ月だ。
卒業したら、会社に入り、いろんな部を回って、一通りのことを学ばなければならない。
モデルのバイトは、順調で、そこそこ顔も売れて、大学以外では帽子と眼鏡が必需品だ。
ハワイやサイパンでも撮影があり、マリンスポーツを楽しみながら、充実していた。
さやかさんとも、そろそろけじめをつけなければならない。
弥生が帰国する前に、身綺麗にしておかなければ、と思う俺は、中身までは変われなかったようだ。
弥生は、花園和人の何を見て、理想だと言ったのだろう。今でも疑問だ。
6月に入り、新しいブライダルホールのポスター録りがあった。
これを最後に、モデルのバイトを終わり、さやかさんとも、関係を絶つ予定だ。
撮影は、軽井沢の教会と白樺林をバックに行われた。
撮影後に、俺は、近くのホテルを予約しておいた。さやかさんと最後の夜を過ごすことにしたからだ。
最も、最後だと思っているのは、俺だけかもしれないが。
抱いた後、
「さやかさん、今まで、ありがとう。」
「それって、別れるってこと?」
「別れるも何も、俺たち、付き合っていたわけじゃないだろ。」
「浩輝は、セフレのつもりだったの?」
「さやかさんだって、本気ではなかったよね。
女優としても、これからだし、俺もモデルのバイトは、これが最後だから。」
「モデルを続けていかないの?才能あるのに。」
「俺はやらなきゃならないことがあるから。これからは、そっちに本腰を入れていきたいんだ。さやかさんとは、楽しかったよ。」