もう一度出会えたら
彼がバスルームに向かうと、私もベッドから抜け出した。


バスタオルとドライヤーと予備で買っておいた歯ブラシを脱衣所に用意し、


台所で洗顔と歯磨きを済ませると簡単にメイクと着替えをした。


冷蔵庫の中を確認すると見事に空っぽでミネラルウォーター1本だけという何とも女子力の低い中身だった。


昨日は沙羅との予定もあったし、最近は買い物も行かずに家にある物を使い切らなきゃって思ってたから見事に使い切った結果なんだけど。


何か簡単に食事を用意した方が良いと思ったけど……タイミング悪い。


まぁ仕方ないか…そう思っていたらシャワーを終えた彼が出てきた。


『菜々さん、シャワーありがとうございました。あと歯ブラシも助かりました。』


「あっ、涼くん良かったらこれ飲んでね。あと何か食事でも用意しようと思ったんだけど、材料切らしてて今何も作れるものがなかったからごめんなさい…」」


『気にしないで下さい。僕ももう帰りますから』


そう言って急いで帰る準備を始める彼を見て心がズキンと痛んだ。


「…そっか」


恋人同士なら、何があるのって気にせず聞けたりするのに…


まだ一緒に過ごせたりする時間なのに、私たちはそんな関係じゃないから彼の時間を拘束する事は私には出来ない。
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