もう一度出会えたら
『じゃあ、また』


駅に着くと彼は爽やかな笑顔でそう言ってあっさりと帰って行った。


一度も振り返ることなく彼の背中が見えなくなると虚しさだけが残された。


スーパーに寄り1週間分の食材を買って家に戻ると、部屋にはさっきまでここに居た彼の気配がまだあちこちに残っていた。


もうここに来る事はないかもしれない彼の香りを消したかった…。


先週洗ったばかりの、シーツに張り替えるとお気に入り柔軟剤の香りでいつもなら癒されるのに今日は何だか寂しくて…悲しくなった。


次は絶対に未来のある恋をする。あの人と別れた後にそう決めたのに…。


無限ループに落ちていきそうな…そんな予感がした。
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