もう一度出会えたら
父もちょうど愛ちゃんの散歩に行っているらしく家にはいなかった。


とりあえず、荷物を2階の自室まで運びこれからまだまだ暑くなりそうな


部屋の中に外の風を入れようと窓を開けた。


ハァーと大きなため息を吐きながら、ベッドにゴロンと横になるとスマホ


を手に持ち眺めながらLINEを開いた。私のメッセージにはまだ気づいて


いないのか既読マークは付いていない。


それとも私のように気付いていても読んでくれない?


彼と連絡が取れない今、思考が悪い方にばかり行ってしまって不安になる。


彼にもこんな思いをさせていたんだろうか…あの朝改札で私の腕を掴んだ


彼の焦った表情を思い出し…胸が痛くなった。


私…本当にいつも自分の事しか考えてなかったし、見えてなかった。


あの人の時も……今も。


相手の話を聞く前に、自分から殻に閉じこもり聞く耳も持たない。


相手に背を向け逃げてばかりじゃ、大切なものを見過ごしてしまうのに。


今までの自分を見つめ直し反省しながら、これからどうするべきかを考えた。


………考えてるうちにウトウトしてしまい、気づいたら時計の針が夕方の


4時を指していた。あれから2時間近く眠っていたらい。
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