もう一度出会えたら
慌てて頭の横に置かれていたスマホを手に取り画面を開くと、つい30分ほど前に


彼からの着信が入っていた。なのに、眠ってて気づかなかったなんて…思わず頭


を抱えてしまった。すぐに涼くんに折り返してみたけれど、とことんタイミング


が合わないのか、また留守電に繋がった電話を切ってLINEを入れようと開いた時


彼からのメッセージが届いた。


“今は電車の中なので後で必ず連絡します”


それから20分近くが経った時スマホの着信音が響いた。急いで確認すると彼から


の着信で思わず深呼吸をしてドキドキしながら電話に出た。


『もしもし菜々さん?』


久しぶりに感じる彼の声に胸がギュッと痛くなる。


「…うん。涼くん…ゴメンね」


『菜々さん、今から少しだけ外に出て来てもらえますか?』


今から外に…?だけど、ここは実家のある大阪で彼のいる東京ではない…。


「あのね、私…今は」


『ちゃんと分かってますよ。だから追いかけて来たんです』


私の言葉を遮りながらも、彼が優しい声でそう言った。


え……追いかけて来たって、彼が実家の外にいるの!?
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