もう一度出会えたら
『彼の方は覚えてたよ。仕事の取引先として初めて顔を合わせた後、最初は彼の方から声をかけてきたんだよ。S大出身の方ですよね?って。私も何処かで見た事あるって思ってたから、そう言われて思い出したし、菜々のことも知ってたよ。合コンに参加するメンバーの話をしてた時に彼が私に聞いてきたから』
「え…何を?」
『菜々さんって、私と同じサークルだった朝比奈菜々さんですか?って…』
「そう…なんだ…」
『今思うと私の名前までは覚えてなかった彼が、沙羅の事だけはフルネームで言ってたし…。大学時代に何も接点とかなかったの?』
「何かあったら私だって忘れないよ」
『だよね〜。』
沙羅にとっては何気無く出た言葉だったとは思う。
だけどその何気無い言葉に、あの日の光景が脳裏をかすめた。
確かにあの日の私も朝起きたら、知らない部屋で知らない人と寝ていた。
知らない人と言うのとは少し違うのかもしれないけど。
誰だったのか顔も見なかったのだから……。
「え…何を?」
『菜々さんって、私と同じサークルだった朝比奈菜々さんですか?って…』
「そう…なんだ…」
『今思うと私の名前までは覚えてなかった彼が、沙羅の事だけはフルネームで言ってたし…。大学時代に何も接点とかなかったの?』
「何かあったら私だって忘れないよ」
『だよね〜。』
沙羅にとっては何気無く出た言葉だったとは思う。
だけどその何気無い言葉に、あの日の光景が脳裏をかすめた。
確かにあの日の私も朝起きたら、知らない部屋で知らない人と寝ていた。
知らない人と言うのとは少し違うのかもしれないけど。
誰だったのか顔も見なかったのだから……。