もう一度出会えたら
『ギャー菜々!』


「ゲボッゲボッ……ご、ごめん」


勢いよく口から吹き出した後は思いっきり咳き込んでしまった。


落ち着いたところで店員さんが手渡してくれたおしぼりで


沙羅の濡れた顔を拭いていく。


「でも、沙羅があのタイミングで変な事言うから」


沙羅が手鏡で顔を見ながら


『でもぶっちゃけ体の関係持ったんじゃないの?お互いに裸だったなら、なおさらじゃん』


沙羅を見るとにやにやしながらお下品な顔になっている。


「ちょ、ちょっとやめてよ。その顔と言いかた…めっちゃスケべなオヤジみたい…。初めは夢だと思ってて、後で思い出しただけだし、それに思い出せたのは実際にはキスだけでその後は覚えてないの。だからまだ最後までしたかどうか分からないじゃん」


沙羅は少しだけ真面目な顔になって


『彼ってあの見た目じゃん。だからうちの会社でも人気あるんだよ。彼がうちの会社に来るたびに女子がみんなハンターになるくらいにね。』


聞いてて彼が相当モテる事は分かった。


『みんな彼を落とすためにあの手この手で誘うんだけど、結果は惨敗で…。誰の誘いにも乗らなかったの。その彼が今回の合コンにだけは参加したんだよ。しかも、今回は事前に女子の名前も伝えてあったし。もしかしたら菜々に会えるから今回は参加したのかなって思って。そう考えると辻褄合うよね』
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