涙恋
私と隆介は、だんだん仲良くなっていった。

授業中も休み時間も話すようになり、
隆介と一緒にいるのが楽しくなった。

「俺、佐倉としゃべってるとなんか落ち着く!」

「え?」

「なんか楽しいっつーかさ!」

「私も…隆介と話してるとなんか楽しい。」

男子にこんなことを言われたのも
こんなことを言ったのも初めてだった。

本当に楽しかった。
隆介は顔も結構いいほうだし、
一緒にいて楽しいし、
彼氏にするならこんな人がいいな―と
勝手に思い始めていた。

そして、隆介と話すのに
夢中になっていた私は、
同じクラスの女子からの
冷たい視線に気付かなかった―。

「星夏、柴崎とあんまり
仲良くしないほうがいいよ?」

ある日の移動教室のとき、
親友の美玲に言われた。

「え、どういうこと?
美玲、隆介のこと好きなの?」

「違うよ。有坂さんが柴崎のこと好きなの。
それで、星夏が柴崎と仲いいからって
有坂さんのグループが星夏を嫌ってんの。」

「有坂さんって同じクラスの
有坂理央ちゃんのこと?」

「うん。有坂さんって好きな人が絡むと
すごい怖いらしいから…
仲良くしないほうがいいよ。」

「でも……」

「とにかく、関わらないほうがいいよ。」

「…うん。」

私はすごく悲しくなった。

隆介と話すのはあんなに楽しいんだよ。
それなのに、どうして
我慢しなきゃいけないの?




< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop