涙恋
次の授業は憂鬱だった。

美玲の言葉が頭から離れない。

私はきっと―
ううん、隆介が好き。
そう言い切れる。

有坂さんが怖いのは分かる。
私のこと考えて
言ってくれてるのは分かるよ。

でもどうして…?
美玲はどうして
関わらないほうがいいなんていうの?
今までだったら応援してくれたのに。

いつも「頑張れ」って言ってくれたのに。
私の気持ちになって、
ずっと相談に乗ってくれてたのに。

「佐倉ー? 大丈夫か?」

「…あ、えっ何?」

「いや、なんかぼーっとしてるから。」

「そうかな…」

「なんかあったか?」

「…隆介はさ、好きな人がいるのに
関わるなって言われたらどうする?」

「そんなの嫌に決まってんじゃん。
好きな奴なんだろ?
他人の言うことを当てにするより、
自分の気持ちに素直になる!」

「うん…そうだよね。」

「元気出たか?」

そうだよね…隆介の言うとおり。
自分の気持ちに素直になるよ。
私、隆介のこと
振り向かせられるように
頑張るね―。

「ありがとう、隆介。」

「いいよ、礼なんて。」

「……っ!?」

今…すごい視線を感じた気がした。
私のことを思いきり、
憎しみの目で睨みつけたような
嫌な視線―。
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