私の小さなヒーロー
「ママ、こっちだよ。
ここに、一緒に隠れよう」

私は圭吾に手を引かれ、テーブルの下に身を隠した。

「ママ、大丈夫だよ。ぼくが側にいるからね。ぼくがママを守るからね」

圭吾がそう言って、私の手を握ってくれた。

雄飛や両親も、テーブルの下に身を隠して、一生懸命に私を守ろうとしている圭吾を微笑ましく見ている。

「圭吾、ありがとね」

息子の気持ちが嬉しくて、感謝の言葉を口にする。

「ううん、いいんだよ。男の人はね、女の人を守らなくちゃいけないんだよ。だって、女の人は弱いから。
だから、ママはぼくが守るの」

自信満々に答える圭吾。

その言葉は、父である雄飛の口癖だ。

『か弱い女性を守るのは男の役目』

『くるみのことは、俺が守るから』






私と雄飛の出逢いは中学のとき。

1度付き合い始めた私たちだけど、ちょっとした噂に惑わされ、誤解を説くこともないまま、自然消滅してしまった初恋。

それから6年。
成人式の後の同窓会で再会。  
当時、お互いにフリーだったことと、まだ気持ちが残っていたことから、また付き合い始めた。








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