17年ぶりの夜
私とコウヘイは
夏の野球部の試合の応援に吹奏楽部が駆り出された時に知り合った。

同じ学年の彼はスポーツ刈りの短い髪がよく似合っていて、
白いユニフォームに白い歯を見せて
「すごく暑いのにトロンボーンを一生懸命吹いてるのが、可愛いなって思って…。」
とコウヘイが告白してくれて、私達は高校を卒業するまで1年半付き合った。

コウヘイも私も高校を卒業したら、別々の大学に進学したから
次第に疎遠になって、自然消滅した形だった。


今のコウヘイは
どんなオトナになっているだろう?

興味はあるけど

いや、やめておこう。

私は少し酔った頭でそう結論を下し、

帰り支度をした。

まだ、少し飲み足りないけど…

会いたかった吹奏楽部の友人にも会えたし、顧問の先生にも挨拶出来た。

もう、思い残す事はないと思って、私は賑やかな宴会場を後にした。
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