君は私の人生の、輝く太陽。
今日は退院する日。
1ヶ月なんてあっという間だった。
頭を、心を、整理するのには足りなかった。
頭の中も心の中も、ぐちゃぐちゃだ。
絡み合って解けない糸のように。
車に乗って、家に帰る。
お母さんと2人で車に乗っている間は、なにも話さなかった。
家の前について、車から降りると直斗がいた。
「涼香!大丈夫か!?」
やっぱり、私のことを涼香って言う。
遥香のお葬式をやったんだから仕方ないか。
頭では割り切れても、辛いよ。
「・・・涼香?」
「え、あ、ごめん!なんでもないよー!もう大丈夫!」
直斗に顔をのぞき込まれてハッとする。
私は涼香。
遥香のことでショックを受ける必要なんてない。
だって、私は涼香だもの。
遥香は死んだ。
「お前・・・。」
「なに?」
私のことを戸惑ったように直斗が見る。
「・・・おばさーん!ちょっとコイツ借りていー?話したいんだけどー!」
直斗がお母さんに向かってそう言った。
「ええ、どうぞ。・・・二人とも5時には帰ってきなさいね」
お母さんは微笑んだ。
「行こうぜ!」
「うん!・・・ってどこに行くの!?」
「内緒!」
行き先を教えてくれない直斗に、仕方なくついていく。
今は3時。
あと2時間だ。
「ここ・・・」
そこは小さな展望台。
私の町が見渡せるようになっている。
公園だけど、遊具は少ないからあまり人が来ない。
「・・・昔、よくここに来てたよな。3人で。」
私の目に、少し涙がたまる。
「・・・そうだね。遥香と一緒にいつも来てたね。」
涼香と言いそうになるのを、こらえる。
「・・・あのさ。」
いつになく、真剣な顔をしている直斗をみてドキッとした。
私は無言で直斗を見つめる。
「・・・お前、本当に涼香?」
「っなにいってんの!私は涼香だよー!」
少し動揺した。
だって、わかるはずないよ。
わかるはずない。
そう思ってたけど。
直斗は私たちを見分けることが出来るんだ。
昔から。
「・・・嘘だろ?お前は、遥香だ。」
息が止まる。
なんで、どうして?
お母さんもお父さんも、私のことわからなかったのに。
なんで直斗はわかってくれるの?
「・・・っ」
私の頬を一筋の涙が伝う。
「泣いていいよ。誰も見てない。」
私の頭を優しくなでてくれる直斗。