君は私の人生の、輝く太陽。
「ただいまー!」
「おかえりなさい、涼香」
今日もお母さんは笑顔で迎えてくれる。
でも、涼香と呼ばれる度に心に傷がついていく。
どんどん傷がついていく。
でも、仕方がない。
私が耐えればいい。
たったそれだけのこと。
私に"遥香"としての感情はいらないんだ。
だって私は"涼香"だから。
宿題をして、ご飯を食べて、お風呂に入って。
家族と話をしていても、私が本当に"涼香"なのかという不信感はこれっぽっちもなかった。
それに、また傷ついて。
なんでこんなに傷つくの。
傷つく必要なんてない。
だって私は涼香だもの。
日が経つごとに心の傷は増えていく。
ズタズタに切り裂かれる。
感情なんかいらない。
悲しいも、苦しいも。
痛いも、辛いも。
全部全部いらない。
でも無くすことは出来ない。
それなら、隠してしまえ。
いらない感情は箱に入れて、鍵を閉めて。
鎖できつくまいて。
絶対に開かないように。
そして、心の奥底に隠そう。
いつか限界が来るのはわかってる。
でもその前に、この家から離れればいい。
遠い学校に進学すればいい。
そうやって、この家から、この町から出ていけばいい。
誰も私のことを、知らない場所へ。
そう思ってるのに。
それなのにどうして。
こんなに涙が出てくるの・・・?
辛いよ。
苦しいよ。
もう、嫌だ。
これは間違った選択だった?
でも、でも。
これが間違った選択なら、どうすればよかったの?
私には、この選択しかなかったのに。
夜、寝る前。
ベットに入ると涙がこぼれる。
ポロポロと。
声を押し殺して泣くことが、もう日課になっていた。