君は私の人生の、輝く太陽。
「・・・お前、泣いた?」
朝、学校に投稿してる時だった。
突然直斗にそう言われた。
「・・・っなんでー?泣いてないよー!」
「嘘つけ。お前泣いた後はよく喋んじゃん。」
「っ!」
まさか、直斗にバレるとは思わなかった。
お母さんにもバレなかったのに。
そこまで考えてハッとした。
お母さんは、私の少しの変化に気づくほど、私のことを見てないんだ。
直斗はよく見てくれている。
だから、私と涼香を見分けられる。
でもお母さんは、見分けられない。
直斗は昨日の夜に泣いたことに気づいてくれる。
でもお母さんは気づいてくれない。
私は、そこまで必要じゃないのかな?
けれど今の私は涼香。
遥香が死んだと言った時は泣いていた。
じゃあ、涼香がいらないってこと?
・・・遥香が必要だったら、私たちを見分けられるか。
結局私は────
「・・・か、は・・・か、・・・遥香!」
「っ!ごめん、なに?」
直斗に名前を呼ばれて、考えるのをやめた。
「・・・なんで泣いた?なんでもなくないだろ。」
直斗は真剣な顔をして、聞いてくる。
「・・・でしょ。」
本当は"遥香"って呼んでもらえて嬉しいのに。
泣いたことに気づいてくれて嬉しいのに。
私は自分の気持ちを言えないんだ。
「え、ごめん。なんで言った?」
「・・・っ直斗には関係ないでしょ!?」
私の言葉に、直斗が顔を歪めた。
「・・・知ったようなこと言わないでよ!もうやだ・・・。」
「遥香・・・」
直斗が私に手を伸ばす。
でもそれを、私は。
────振り払った。
宙をさまよう直斗の右手。
私は、そのまま走り出した。
行き先なんてない。
行きたい場所なんてない。
ただただ、私のことを知っている人がいる場所にいたくなかった。
気づいたら、雨が降ってきていて。
どんどん強くなっていく。
それでも、私の足は止まらない。
走って、走って、走って。
もうどこにいるのかわからない。
「・・・はっ、はぁ、はぁ」
疲れて、足が止まる。
もう雨でビショビショだった。
「・・・雨宿り」
近くの公園にある、鎌倉のような遊具の中に入った。
「・・・学校、サボっちゃった。」
携帯も持ってないし。
財布もない。
帰り道もわかんないし。
もうやだ。
こんな世界にいたくない。
溢れそうになる涙を必死でこらえた。
「私は、間違ってるの?」
誰にも返されない、私の質問。
少し響いて、消えていく。
少しずつ、睡魔が襲ってきて。
眠ったらいけない。
そう思って、私は精一杯の抵抗したけれど、眠りについた。