君は私の人生の、輝く太陽。
「・・・かちゃーん!り・・・ーん!」
どこかで、私を呼ぶ声が聞こえる気がする。
「誰・・・?」
私は遊具の中から外に出た。
空はもう暗くなっていて。
雨が降っていたのに、今は星が散りばめられている。
「りょ・・・ちゃーん!・・・涼香ちゃーん!」
耳をすませば聞こえてくる、私の名前。
「・・・おばあちゃん?」
その声は、紛れもなくおばあちゃんの声で。
私は公園の外に出た。
「・・・涼香ちゃん!!!」
公園の外に出ると、おばあちゃんが私を見て走ってきた。
「・・・おばあちゃん、なんで・・・?」
「良かった・・・!」
そう言って私のことを抱きしめるおばあちゃんの手は震えていた。
私が、おばあちゃんを不安にさせている。
そう思った途端、どうしようもなく、泣きたくなった。
昔から大好きだったおばあちゃんのこんな姿を見るのは初めてで。
胸が締め付けられるように痛かった。
「・・・おばあちゃん、なんで私のこと探してるの?」
「なんでって・・・。恵美(メグミ)から電話があったのよ。"涼香がいなくなった"って。それを聞いて探してたのよ。・・・恵美も探してるの。それから直斗君も。」
恵美はお母さんの名前だ。
お母さんからおばあちゃんに電話?
直斗も探してる?
私は直斗に、ひどいこと言ったのに。
絶対傷つけたのに。
それなのに、探してくれてるの・・・?
「・・・涼香ちゃん?」
なにも言わなくなった私に、おばあちゃんは不思議そうに声をかけた。
「・・・あっ、ごめん。」
「いいのよ。・・・こんなに濡れちゃって。寒かったでしょう?おばあちゃんの家においで。」
おばあちゃんは優しくそう言った。
私はコクンと頷いた。
黙って、おばあちゃんの後ろを歩く。
懐かしい、おばあちゃんの家。
中に入るとおばあちゃんの匂いが漂っていて。
とても安心した。
「・・・涼香ちゃん。お風呂に入っておいで。洋服は用意しておくからね。」
「うん。・・・ありがとう、おばあちゃん。」
私はおばあちゃんからバスタオルを受け取った。
「涼香ちゃんがお風呂に入ってる間に、恵美に電話して迎えに────」
「やだ!」
「え・・・?」
おばあちゃんの言葉を遮った。
嫌だ。
今は家に帰りたくない。
家に帰ったら、多分直斗に会うことにもなるし。
そんなの嫌だ。
「涼香ちゃん・・・。おばあちゃんはね、なにがあったのかは知らない。けど、なにがあっても涼香ちゃんの味方だから。」
「おばあちゃん・・・」
「・・・でも、電話はするよ。心配しちゃうから。涼香ちゃん、今日はここに泊まっていくかい?」
「いいの?」
「好きなだけいていいよ。」
おばあちゃんはそう言って微笑んだ。
やっぱりおばあちゃんは優しい。
「でも学校が・・・」
「そんなもの、行かなくたっていいんだよ。行かなくても生きていけるんだから。・・・涼香ちゃんは限界なんだろう?ちょっと休憩した方がいいよ。」
「おばあちゃん・・・」
「とりあえずお風呂に入っておいで。」
私はおばあちゃんのその声を聞いて、すぐにお風呂に入った。
お風呂から出ると、テーブルの上にはご飯が並べられていて。
「夜ご飯を食べようね」
そう言って、おばあちゃんはまた笑ってくれた。