君は私の人生の、輝く太陽。
「・・・それで、話はなに?」
いつまで経っても話さないから、私が聞いた。
「・・・遥香、俺さ」
私のことを"遥香"と呼んだ直斗。
ここは学校なのに。
「・・・俺、遥香のことが好きなんだよ」
「え・・・」
言っている意味がわからない。
なに?
どういうこと?
直斗は"遥香"が好きで、"涼香"は直斗が好きで。
"遥香"と"涼香"は双子で。
3人は幼なじみ。
綺麗な三角関係。
なんで、こんなことになるの。
「・・・俺は、ずっと前から遥香が好きだったんだよ。だから、俺の前で偽るなよ。無理すんなよ。無理してる遥香見るのが────辛いんだよ
。」
なによそれ。
なんでそんなこと言うの?
私だって、好きで"涼香"になったわけじゃない。
私だって、"遥香"のまま生きたかった。
でもさ、無理じゃん。
無理なら、私が偽るしかない。
それが私の負担になっていたとしても。
仕方がない。
私が頑張ればいいだけ。
それだけのこと。
「・・・直斗。私はね、"遥香"じゃないよ。」
私は微笑んでそう言った。
「は・・・?なに言って・・・」
「遥香は死んだんだよ。お通夜もお葬式もやったんでしょう?私を遥香と重ねないでよ。私は涼香だよ。」
「・・・違う。お前は────」
「涼香だよ。遥香じゃないの。」
私はきっぱりと言い切った。
直斗の瞳が悲しそうに揺れている。
「・・・私は遥香じゃないから直斗の気持ちには答えられない。けど、私は直斗のこと好きだよ。」
直斗は戸惑っていた。
けれど、言葉の意味を理解して、悲しそうに顔を歪めた。
「・・・それは、涼香の気持ちか?」
「うん。だって私は涼香だもん。」
「・・・わかった。でも俺は、お前が遥香だって知ってるから。」
そう言い残して、校舎の方へ戻っていった。
足の力が抜けて、その場に座り込む。
「・・・っもう、やだ」
溢れそうになる涙を必死で堪える。
ごめんね、直斗。
直斗は私に気づいてくれたのに。
傷つけちゃった。
私は最低だ。
でも、こんな感情いらない。
悲しいとか、辛いなんて感情いらないんだよ。
こんな感情捨てたいのに。
なんで捨てられないの。
なんでよ・・・。
目の淵に溜まった涙を、制服の袖で拭き取って教室に向かった。