君は私の人生の、輝く太陽。
ラベンダー
***
涼香として学校に通い始めてから2ヶ月。
誰にも遥香だとはバレなかった。
それに少し悲しくなって。
私は涼香だと自分に言い聞かせた。
おばあちゃんのおかげで、夜に泣くことはなくなった。
直斗とも、涼香として話している。
気づかれてはいけない。
わかっているのに。
心のどこかで、気づいてほしいと思っている。
自分でもよくわからなくなって。
本当の気持ちがわからない。
本当の自分がわからない。
「・・・涼香!」
「っえ、あ?」
突然名前を呼ばれ、私の口からは変な声が出た。
「・・・なにその声ー!」
莉心ちゃんは私の声を聞いて、お腹を抱えて笑っている。
「・・・笑わないでよー!びっくりしたんだもん!」
私も笑顔を作る。
笑顔を作れば、周りは笑ってくれる。
けれど、私の気持ちは沈んでいく。
どんどん、どんどん沈んでいく。
それはまるで水の中のよう。
沈めば沈むほど、光が届かなくなって。
周りは真っ暗。
なにも見えなくって。
息もできなくて。
誰の声も届かない。
私の声も届かない。
本当の私は沈んでいく。
偽りの私は、海の上で船に乗って楽しそうに話している。
その船が、たとえ壊れかけた船のように不安定でも。
少しずつ入ってくる水。
その水は少しずつ船を浸していく。
でもそんな水に、私は気づかないふりをするんだ。