君は私の人生の、輝く太陽。
「・・・ここら辺でいいかな?」
玲先輩は誰も通らない渡り廊下で止まった。
「・・・はいっ!」
うまく声が出せない。
心臓の鼓動がいつもの二倍くらいになって。
ドキドキと鳴る胸の音が、先輩に聞こえてるんじゃないのか不安になる。
「・・・俺さ、好きなんだよ」
「え・・・?」
嘘でしょう?
すごく、嬉しい。
「・・・俺、ずっと好きだったんだ。」
「・・・っ先輩」
言葉が詰まって、うまく出てこない。
「っ私も・・・」
"私もずっと前から好きでした"
私の言葉は、先輩の言葉によって遮られた。
「・・・ずっと前から、涼香ちゃんのこと好きだったんだ。」
「ぁ・・・」
舞い上がっていた私の気持ちが、どん底に突き落とされる。
そうだよ。
なに舞い上がっているの。
私は涼香なんだよ。
私は遥香じゃないんだ。
だから、先輩の"好き"も、涼香に向けられたもので。
私に向けられたものじゃない。
涼香の好きな人は直斗だもん。
だから先輩とは付き合えない。
先輩に好きだと伝えられない。
元々、先輩が好きなのは涼香だ。
私じゃない。
なんでこんなことになったんだろう。
なんでこんなにも上手くいかないの?
どうして、双子なのに。
私が好きな人は涼香を想っていて、涼香が好きな人は私を思っているの。
なんで。
「・・・っ私、私は」
"好き"だと言いたい。
"好き"だと伝えたい。
それは許されないことだけれど。
「・・・っごめんなさい!」
私は頭を下げた。
ごめんなさい、ごめんなさい。
私が好きになってごめんなさい。
涼香じゃなくてごめんなさい。
気持ちに答えられなくてごめんなさい。
いろんな意味の"ごめんなさい"。
「っあの、私、先輩のこと、そういう風に見たことなくて・・・!それに、好きな人も、いるんですっ!」
私は言葉を並べる。
こんなこと本当は思ってない。
私の好きな人は先輩。
でもそれは言えないから、それっぽい言葉を並べる。
「・・・そっか。」
先輩は悲しそうに目を伏せた。
そして、眉をハの時にして笑った。
そんな顔して欲しくない。
先輩には、ちゃんと笑っていてほしい。
どうすれば、笑ってくれる?
どうすれば、"私"の気持ちが伝わる?
どうすれば・・・。