君は私の人生の、輝く太陽。
「・・・っ涼香は、本当に涼香なの?」
「え・・・?」
ドクンッと胸が、大きな音を立てる。
「・・・なに、言ってるの?私は涼香だよ?」
ハハッと笑った声は、自分でもびっくりするぐらいかすれていた。
ぎゅっと膝の上に置かれた、自分の手を握りしめる。
大丈夫、大丈夫。
自分に言い聞かせ、手を開いた。
「・・・最近の涼香は、少し前と違う気がするんだ。直斗君と話をする時に、気まずそうにしてる所とか。」
気まずそう?
いつも通りに振舞っていたと思ってたんだけどな。
「先輩に、告白されたって言ったときに、すごく悲しそうだった。」
「それは・・・っ」
言葉が、出ない。
核心をつかれてしまったから。
「・・・っ、もう、涼香がわからないっ!」
「わからない・・・?」
分からないって何?
わかるわけないじゃん。
だって涼香じゃないんだもん。
「涼香は、直斗君が好きなんじゃないの?なんで、先輩に告白されて、断って、悲しそうな顔するの?」
「・・・っそんなこと────」
「先輩に告白されたって涼香が言ったとき、すごく嬉しそうだったんだよ!?」
嬉しそうだった?
そんなに表情に出てた?
「・・・っなにがわかるの?」
少し、いつもより低い声。
でも、声が震えているのがわかる。
「涼香・・・?」
私の声に、莉心ちゃんが目を見開く。
「・・・っごめん。変な事言って!」
私は、顔に笑みを貼り付ける。
私が困らせちゃいけない。
私が傷つけちゃいけない。
「・・・直斗と気まずかったのは、私が好きだって言ったから。先輩に告白されて嬉しそうだったっていうのは、好きだって言われたからだよ」
とっさに思いついた言い訳を並べる。
これで、うまくやり過ごせればいい。
「誰だって、好きだって言われたら嬉しいでしょ?断って悲しそうだったっていうのは・・・」
1度、深く息を吸った。
「・・・遥香が、先輩のこと好きだったから。」
「え・・・?嘘でしょう・・・?」
"遥香が好きだった"という言葉に目を見開いて、口を手で抑えた。
莉心ちゃんから出てきた言葉は、震えていた。
「・・・歌お!」
私は、暗くなった雰囲気を壊すように笑顔でそう言った。
莉心ちゃんも、それに乗ってくれる。
上手くかわせたよね・・・?
大丈夫。
バレてないはず。
どうかこのまま誰も気づきませんように。
~ラベンダー「不信感」~