君は私の人生の、輝く太陽。
3章
黄色のチューリップ
***
涼香として学校に通い始めてから3ヶ月。
玲先輩は、私と会うと必ず話しかけてくれる。
それが少し嬉しくて、悲しい。
私の中に、先輩が好きだという気持ちは溜まっていくのに、先輩の瞳には映らない。
先輩の瞳に映るのは、いつだって涼香だけ。
遥香のことなんて、一言も話さない。
それが悲しくて。
まるでチクチクと胸に針が刺さるよう。
「・・・あ、涼香ちゃん。おはよう。」
今日もまた、先輩が声をかけてくれる。
微笑みながら。
全て涼香に向けられたもの。
そんなこと理解しているのに、嬉しいと思う自分がいる。
「先輩おはようございます」
私も、微笑みながら挨拶を返す。
「それじゃあ・・・」
「うん。じゃあね。」
階段で私と先輩は別れた。
教室に向かって歩く。
「よくあんな平然としてられるよね〜」
「私だったら絶対無理〜」
たまに廊下の端から聞こえてくる言葉。
これは私に向けられたもの。
なんでわざわざ聞こえるように言うの。
せめて聞こえないように言ってよ。
それに私は、平然としてなくちゃいけないんだよ。
私だって、とっくのとうに限界を超えている。
それでも私は涼香として生きなければいけないから。
あんた達に私の何がわかるっていうのよ。
なにも知らないくせに。
直斗とおばあちゃん以外、みんな知らないくせに。
あんなに好きだった涼香の事を嫌いになってしまいそうで怖い。
それでも私は自分の気持ちを外に出さずに笑い続ける。
みんなは私の気持ちになんか気付かない。
結局みんな上部だけなのかもしれない。
お母さんとお父さんだって、義務を果たすためだけに、私の両親をやっていたのかもしれない。
もう3ヶ月近く会っていない両親に対して、こんなことを思うのはダメだけれど。
「・・・よしっ」
誰にも聞こえないように小さく呟いてから、私はドアを開けた。