君は私の人生の、輝く太陽。
3章

黄色のチューリップ





***





涼香として学校に通い始めてから3ヶ月。





玲先輩は、私と会うと必ず話しかけてくれる。





それが少し嬉しくて、悲しい。






私の中に、先輩が好きだという気持ちは溜まっていくのに、先輩の瞳には映らない。





先輩の瞳に映るのは、いつだって涼香だけ。





遥香のことなんて、一言も話さない。





それが悲しくて。






まるでチクチクと胸に針が刺さるよう。






「・・・あ、涼香ちゃん。おはよう。」






今日もまた、先輩が声をかけてくれる。





微笑みながら。






全て涼香に向けられたもの。






そんなこと理解しているのに、嬉しいと思う自分がいる。





「先輩おはようございます」





私も、微笑みながら挨拶を返す。






「それじゃあ・・・」






「うん。じゃあね。」






階段で私と先輩は別れた。






教室に向かって歩く。






「よくあんな平然としてられるよね〜」





「私だったら絶対無理〜」






たまに廊下の端から聞こえてくる言葉。






これは私に向けられたもの。






なんでわざわざ聞こえるように言うの。






せめて聞こえないように言ってよ。






それに私は、平然としてなくちゃいけないんだよ。






私だって、とっくのとうに限界を超えている。






それでも私は涼香として生きなければいけないから。







あんた達に私の何がわかるっていうのよ。






なにも知らないくせに。





直斗とおばあちゃん以外、みんな知らないくせに。






あんなに好きだった涼香の事を嫌いになってしまいそうで怖い。





それでも私は自分の気持ちを外に出さずに笑い続ける。






みんなは私の気持ちになんか気付かない。







結局みんな上部だけなのかもしれない。






お母さんとお父さんだって、義務を果たすためだけに、私の両親をやっていたのかもしれない。






もう3ヶ月近く会っていない両親に対して、こんなことを思うのはダメだけれど。






「・・・よしっ」






誰にも聞こえないように小さく呟いてから、私はドアを開けた。







< 34 / 101 >

この作品をシェア

pagetop