君は私の人生の、輝く太陽。
なんでこんなにも真っ直ぐに涼香のことを思うんだろう。
それは遥香がもういないから。
全部分かってるんだ。
でもね、それでも、諦めたくない。
諦められないの。
先輩が好きで。
誰よりも先輩が好きで。
でも遥香として、気持ちを伝えることはもう出来ない。
先輩は私の初恋だった。
初恋は叶わないって本当なのかもしれない。
直斗も、涼香も、私も、初恋は叶わない。
もしかしたら先輩も、叶わなかったのかもしれない。
もし涼香が先輩の初恋なら・・・。
美術室に着くと、もうみんな席に着いていた。
私も席に座る。
授業が終わって、給食を食べて。
帰りの支度をして。
莉心ちゃんと一緒に帰るはずだった。
「・・・涼香ちゃん。」
昇降口の前で先輩に呼び止められた。
先輩はチラッと莉心ちゃんに視線を移した。
「・・・涼香、先に帰るねー!」
莉心ちゃんはそう言って、帰ってしまった。
先輩と2人きり。
周りには誰もいない。
心臓が、ドクンと大きく脈を打つ。
「・・・涼香ちゃん、俺さ。やっぱり諦められないんだよ。」
先輩は悲しそうだった。
「俺は、涼香ちゃんが好きなんだよ!遥香ちゃんじゃダメなんだ!」
やっぱり私じゃダメなんだ・・・。
そう思うと自然と涙が出てきて。
「・・・っ先輩、私は────」
「涼香になにしてるんですか。」
泣きそうになりながら、『私は涼香じゃない』と言おうとした時。
直斗が私と玲先輩の間に入った。
「直斗・・・?」
直斗は私の言葉に反応しない。
じっと先輩を見ている。
「・・・俺は、気持ちを伝えていただけだ。君は涼香ちゃんの何なんだ?」
少し先輩の目が鋭くなった。
細められた目。
その目は、直斗に敵意があるように見えた。
「俺は、涼香の幼なじみだ。」
ねぇ、なんで直斗と先輩が睨み合っているの?
なんで?
私のせいなのかな?
私が、涼香じゃないから?
もう、やめてよ。
そう思った瞬間。
つーっと頬をなにかが伝った。
それが私の涙だと理解するのに、そう時間はかからなかった。