君は私の人生の、輝く太陽。
「ここ・・・」
目の前に広がる私たちの住んでいる街。
おばあちゃんの家の方も見える。
「・・・ぇ、ちょ、直斗!?」
私の頭に乗せられた手。
直斗はその手で私の頭をワシャワシャと撫でながら笑った。
「・・・やめてよ、髪崩れるー!」
自然と私の顔にも笑顔が浮かぶ。
私の顔を見て、直斗は手を止めた。
「遥香は笑ってた方がいい。」
「え・・・?」
私の動きも止まった。
笑ってた方がいい?
なに、それ。
そんなの反則・・・。
なんでそんなに優しく笑うの。
胸が高鳴る。
「・・・泣いてもいいから。」
「・・・っ」
そんなこと言われたらさ、また涙出てきちゃうじゃん。
なんで急に優しくなるの。
涙は私の頬を伝って、地面に落ちて。
地面には丸い模様が出来ていく。
「・・・泣いてもいいから、その後は笑えよ?」
「・・・っ私は、私として、生きたかったっ」
どうしてだろう。
直斗といると本音がポロポロと出てくる。
涙と一緒にこぼれて落ちていく。
「遥香として、好きだって、伝えたかったっ」
直斗はなにも言わずに私の背中をさすってくれる。
そんな直斗の優しさが胸にしみる。
なんで私が泣きたい時は直斗が隣にいるの?
直斗がいてくれて良かった。
「・・・もう大丈夫か?」
「・・・うん。」
私は直斗に笑顔を見せた。
気づけば辺はもう暗くなっていて。
直斗は駅まで送ってくれた。
駅で改札を通る直前。
私は振り返った。
「・・・直斗、ありがとう!」
それだけ言って、改札を通った。
私の気持ちを、遥香として先輩に伝えることはもう出来ない。
私の先輩に対する気持ちは、望みのない恋で。
恋ってきっとチョコレートなんだ。
ミルクチョコのような甘い恋。
でも甘いだけじゃない。
時にはビターチョコみたいに苦い時もある。
私の場合はビターチョコが多かっただけ。
でもビターチョコだけじゃない。
涼香がいた頃の私の片想いはミルクチョコばかりだった。
委員会がとても楽しみで、廊下ですれ違うだけで1日幸せになれた。
だから今ビターチョコが多いのは当然のこと。
2つの味のチョコレートが入った袋からミルクチョコだけを食べてしまったら、残りはビターチョコだけになる。
それと同じことなんだ。
望みのない恋だったけれど、辛かっただけじゃない。
辛かった分、苦しかった分、楽しかったことも嬉しかったこともある。
きっとこれは運命で。
最初から望みのない恋だったんだ。
~黄色のチューリップ「望みのない恋」~