君は私の人生の、輝く太陽。
教室に着いて、急いで準備をした。
今日莉心ちゃんは委員会がある。
私は机に伏した。
私はもうみんなの中にいないんだ。
私はもう忘れられてしまった。
もう二度と愛梨と遥香として話せない。
私は愛梨が好きだったのに。
愛梨だって私のことを好きなんだと思ってた。
直斗に『お前らホント仲いいよなー!もう親友なんじゃね?』と言われて、2人で喜んだのに。
本当は嬉しくなかったの?
嬉しかったのは私だけ?
私が自惚れていただけ?
私が遥香として生きられないと、涼香にならなければいけないんだと理解した時、真っ先に愛梨が頭に浮かんだ。
もっと愛梨と話したかった。
もっと愛梨と遊びたかった。
恋バナだってもっとしたかった。
高校生になったら、いろんな所に一緒に行きたかった。
私は頭の中でそんなことをずっと考えていたんだ。
でもそんなの、愛梨にとっては苦痛でしかなかったんだね。
みんなの中にもう"私"はいない。
"私"を覚えているのは、私と直斗とおばあちゃんだけなのかな。
だとしたら"私"は?
"私"の存在は、あってはならないものなのかな。
ねぇ、どうして誰も覚えていないの。
どうしてみんな忘れてしまったの。
"私"が死んだから?
私は生きていても、"私"が死んだからもういらない?
────死にたい。
なんであの時バックを取り間違えたんだろう。
なんであの時青信号は点滅していたのに、渡ってしまったんだろう。
なんであの時・・・。
忘れられることってこんなに辛いんだ。
もしかしたらお母さんとお父さんも・・・?
もう私の居場所は無いの?
4ヶ月前に戻りたい。
戻ることが出来れば、事故になんかあわないのに。
バックを撮り間違えることもないのに。
それなのになんで戻れないの。
忘れられてしまえば、"私"がバレることはない。
それは私が願っていたこと。
でも、やっぱり忘れないで欲しかった。
忘れられることはこんなにも辛くて、苦しくて悲しくて。
今までだって、辛いことや苦しいこと、悲しいことは沢山あった。
でも一番辛くて苦しくて、悲しいのは。
────"私"を忘れられることだった。
~勿忘草(ワスレナグサ)「私を忘れないで」~