君は私の人生の、輝く太陽。
***
私は1人で歩道を歩いていた。
私の家に向かって。
「・・・遥香!」
名前を呼ばれて反射的に振り返る。
「・・・あ、直斗!」
「お前なぁ・・・。俺のこと忘れんなよ!」
溜息を付きながら直斗は呆れたように笑った。
「あははっ!ごめんごめん、忘れてたー!」
「俺ら何年一緒にいると思ってんだよ!?そろそろ覚えろ!」
やり取りが、涼香がいた時と変わらない。
1人、少ないだけ。
たったそれだけなのに、どうして悲しくなるんだろう。
どうしてこんなにも涙が出てくるんだろう。
ポロポロとこぼれてくる涙。
せっかく2人で笑ってたのに。
これじゃあ台無しじゃん。
「ごめ、気にしなくていいから!すぐ止めるから!」
どんなに涙を拭いても溢れる涙はとまらない。
なんで、どうして止まんないの。
「・・・あれ?なんで止まんないんだろ。ホントごめんね!」
一生懸命止めようとするけれど涙は止まらない。
私の意志なんてお構い無しに涙は溢れてこぼれ落ちていく。
「え・・・!?」
急に直斗に抱きしめられて。
「ちょ、なんで!?離してよ!」
暴れる私を直斗はもっと強く抱きしめた。
ああ、そっか。
直斗だって男の人で。
私は幼なじみという近さのせいで気づかなかったんだ。
喧嘩した時も腕をつかむ時も。
きっと全部手加減してくれていたんだ。
対等ではなくなった力の差。
中学生になって、急に伸びた身長。
少し低くなり始めた声。
すべてがそれをものがたっていたのに。
なんで気づかなかったんだろう。
「・・・無理に止めようとしなくていい。前にも言ったろ?泣きたい時は泣いていい。その代わり泣き終わったら笑え。」
さっきよりも優しく抱きしめてくれる直斗。
そんな事言われたら、もっと涙が出てきちゃう。
「・・・っ」
ここは外で誰が見ているかも分からない。
でももうそんなの関係なかった。
直斗は、私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。