君は私の人生の、輝く太陽。
***
「ただいまー」
ガチャッという玄関の扉が開く音と共に聞こえてきたお父さんの声。
私とお母さんはすぐに玄関に行った。
「お父さんおかえりー!」
「おかえりなさい、あなた。」
お父さんは私を見て目を見開いた。
「・・・っ涼香!来てくれたんだな!」
お父さんは嬉しそうに笑いながら私の頭をワシャワシャと乱暴になでる。
「ちょ、お父さん!髪型崩れるー!」
慌ててお父さんの手を止めようとするけれど、やっぱり力は適わなくて。
お父さんにされるがままだ。
ブスっとしている私を見てお父さんは笑った。
「・・・ごめんごめん。」
「あー!ごめんって思ってないでしょー!」
"ごめんごめん"と言ったお父さんに、頬を膨らます。
「今日はケーキ買ってきたからな!早くご飯食べてケーキ食べよう!」
「うん!ケーキだー!」
"ケーキ"と聞いて一気にテンションが上がった私は、ケーキと連呼しながらリビングに戻った。
「・・・二人とも早くー!」
ケーキが大好きだった涼香。
"私"はそこまで好きじゃなかった。
私と涼香の珍しい違い。
いつもならケーキじゃなくて、チョコプリンとかアイスを食べる。
でも、今は涼香だからケーキを食べるんだ。
ここで食べなかったら不審に思われる。
だから私は涼香として食べなければならないんだ。
「本当に涼香はケーキが好きね。そんなに焦らなくてもケーキは逃げないわよ。」
ふふふっと上品に笑ったお母さんは、おばあちゃんそっくりだ。
そんなお母さんを見て、何故だか無性に泣きたくなった。