君は私の人生の、輝く太陽。
「今日から、ここにまた住んでもいい?」
「もちろん!」
正直、不安だった。
もしかしたら、ダメって言われるんじゃないかって。
でもそんな不安、要らなかった。
だって、お母さん達はこんなに私を愛してくれている。
"私"が愛されているのかは分からないけれど、少なくとも、今の私は愛されている。
それならば、私が"私"を捨てればいい。
私が"私"であることを、誰も望んでいないんだ。
「ありがとう!・・・じゃあお風呂入ってくるねー!」
私はすぐに涼香の部屋に行った。
そこはなにも変わっていなくって。
でもやっぱり、自分の部屋じゃないから落ち着かない。
タンスから着替えを取り出して、ドアを開けた。
思わず隣の────''私"の部屋を見た。
涼香と部屋を交換した時みたいで。
もしかしたら、涼香が"私"の部屋から出てくるんじゃないかって思ってしまう。
そんなことありえないのに。
頭の中がぐちゃぐちゃになって。
よくわからなくなっていく。
それでもハッキリとしているのは、私は生きているけれど、"私"は死んだということだ。
つまり、"私"は要らない。
自分で考えてるのに、涙が出てくる。
私は考えを振り落とすように、頭を左右に振った。
そして階段を降りてお風呂に向かう。
シャワーは私についた汚れを落としてくれる。
それなのに、どうして私の心についた黒いものを落としてくれないの?
黒く、濁ったものも、水と一緒に流れていけばいいのに。
私の目からこぼれた涙は、シャワーの水に紛れて分からなくなる。
この涙のように、私もなにかに紛れて消えられればいいのに。
こんなことを思う私は、やっぱり臆病で卑怯なのかな。
キュッとお湯を止めて、湯船に浸かる。
「先輩・・・」
目を閉じると、瞼に浮かんでくる先輩。
ねぇ、先輩。
好き、大好き。
もし、先輩が本当に涼香のことが好きなら。
私が涼香じゃないって気づいてよ・・・。
先輩を責めたってなにも変わらないし、今の状況に対する、ただの八つ当たり。
分かっててもやってしまう私は、やっぱり愚か者だ。
外に出て、服を着る。
髪を乾かして、1度リビングに顔を出す。
「もう寝るね。・・・おやすみ!」
「おやすみなさい。」
「おやすみ」
私は階段を上った。
涼香の部屋に入る。
ベッドに寝転がれば、天井を見上げる体制になって。
まだ明日の準備してないのに。
宿題だって終わってないのに。
襲ってくる睡魔に勝つことは出来なくて。
私は深い眠りに落ちた。
~クロッカス~