君は私の人生の、輝く太陽。
エリカ
***
涼香のことが嫌いだと言っていた莉心ちゃんは、私が聞いていたと知らずに話しかけてくる。
そんな莉心ちゃんに気持ちが冷めていっているのも自覚していた。
毎日一緒にいるのもバカバカしい。
私が自ら莉心ちゃんの元へ行くことはなくなった。
わざわざ自分を嫌ってる人のところになんて行きたくない。
「帰るか」
毎日登下校を一緒にする直斗には、まだ気持ちを伝えていない。
今伝えたら、心変わり早いって思われそうだから。
怖くて伝えられない。
「じゃあねー!」
気が付けば家の前。
笑顔で手を振る私には、学校からここまで何を話したのかが分からない。
「じゃーな!なんかあったら言えよ。夜中でも俺の家に来い」
笑顔でそう言った直斗。
私の胸はポカポカとして。
やっぱり好きなんだなぁと思った。
私は家に入る。
「ただいま〜」
「おかえり、涼香」
私はそのまま部屋に向かった。
そろそろ涼香って呼ばれることに慣れないといけない。
「・・・隣から?」
私の静かな部屋に、聞きなれない音が響く。
それは、隣の部屋────私の部屋からだった。
「・・・なんだろう?」
私は涼香の部屋を出た。
隣にある、私の部屋のドアを開ける。
「・・・お母さん?なにしてるの?」
お母さんは、私の部屋に置いてある写真を見ていた。
「・・・そろそろ片付けないといけないなって思ってね。」
お母さんは悲しそうに笑った。
片付けるって、なに?
部屋は片付いてるじゃん。
お母さんはダンボールに、私の部屋に置いてある小物を入れ始めた。
「お母さん?なに、してるの・・・?」
その部屋がなくなったら、本当に"私"がいなくなる。
帰る場所が無くなってしまう。
「いつまでも引きずってたらダメだから。」
そう言って、お母さんは閉まっていく。
やめてよ。
ここは私の部屋なんだよ?
「・・・て。」
「え?」
お母さんが顔を上げた。
「やめて!片付けないで!」
気づけば私の瞳から涙が溢れていた。
「涼香・・・。でも、片さなきゃいけないのよ。」
なんで。
そのまま残しておいてよ。
"私"を消さないで。
「なんで・・・?お願いだからやめてよ・・・!」
私はお母さんの手からダンボールを奪った。
「もう、居場所を取らないで・・・。お願いだから、これ以上、私の────遥香の居場所を取らないで!!!」
お母さんは驚いたように私を見た。
「もう、私はここにしか残ってないの・・・!」
「・・・涼香?」
私のことを"涼香"と呼びながら、私の腕を触ろうとしたお母さん。
そんなお母さんの手を、私は振り払った。
宙をさまよう手を、お母さんは唖然としたように見ていた。
「涼香って呼ばないで!!!」
そこまで言って、ハッとした。
今、私はなんて言った?
なんで、"涼香って呼ばないで"なんて、言ったんだろう。
私は涼香にならないといけないのに。
「・・・っ直斗の家行ってくる。」
私はそれだけ言って、家を飛び出した。