君は私の人生の、輝く太陽。
5章
スターチス
***
直斗が好き。
そう気づいてから、直斗と少し接しにくくなった。
それでも登下校は一緒にしているから、嫌でも一緒にいないといけないんだけれど。
・・・あれ、でも、直斗は"私"が好きだって言ってたし、これって両想い?
今の私は涼香で、涼香も直斗が好きだった。
それって、私が直斗と付き合ったら、周りから見てどうなるんだろう?
・・・やっぱり、涼香と直斗が両想いって見えるよね。
周りから、涼香と直斗が付き合ってると思われたくないっていうのは、私の我儘?
でも、好きな人が私と付き合っているのに、他の人と付き合ってるって言われたくない。
そう思うのって、普通じゃないの?
それに、直斗に気持ちを伝えられてから、もうだいぶ経っている。
今も直斗が私のことを想ってるとは言い切れない。
だから、もし、直斗がもう私のことを想っていなかったら。
私が気持ちを伝えることで、幼馴染みというこの関係が消えてしまうかもしれない。
近くて遠い幼馴染み。
その壁は、私には壊せない。
「・・・い、・・・おい!」
突然直斗の顔が目の前にきて、目を見開く。
そうだ、今は登校中だった!
「どうした?さっきからぼーっとして。」
また、心配そうな顔。
そんな顔しないでよ。
「ううん。ちょっと考え事!なんでもないよー」
直斗のことを考えてたなんて恥ずかしすぎて言えない。
まして"好き"なんて言えない。
「ふーん・・・。」
直斗の瞳が、すっと細められる。
きっとこの瞳は、なにか隠していないか見極めているところ。
でもきっと分からない。
直斗は私の気持ちに気づかないと思う。
なんとなく、だけど。
直斗は前に向き直った。
きっと、私がなにも隠していないと思ったから。
もし、私がなにか隠していると思ったら、もっと追求してくるはずだ。
周りにちらほらと見え始めた、同じ制服を着た人たち。
大して楽しくもない学校に、なんで行くのだろう。
まだ私たちは中学生で、義務教育が終わってないから?
・・・学校になんか、行きたくない。
こんな我儘、絶対に言えないけれど。
私たちは学校に向かって歩を進めた。