君は私の人生の、輝く太陽。





***






学校で休憩時間になっても、私の机の周りには誰も来ない。







それがこんなに寂しいことだと知らなかった。







せめて直斗がいてくれたらと思ってしまう。







どうしようもなく弱虫なんだ。







涼香になろうと決めたのに、心のどこかで遥香に戻りたいと思っている自分がいる。







来週はもう卒業式で。






来月には3年生になる。






そうすれば今度は受験を考えないといけない。







遥香に戻りたいなんて、考えてる余裕なんて無くなるんだ。







「はぁ・・・」







「涼香?ため息なんて吐いてどうしたの?」







リビングだったこと忘れてた・・・!






お母さんが不思議そうにに私を見る。






「いや!うん!もうすぐ3年生だなぁって思ってさ!」







「そうねぇ・・・。」






お母さんは眉をハの字にしながら"私"の遺影を見た。







ねぇ、そんな顔をしながら"私"を見ないでよ。







"私"はここにいるよ?







なんで、写真の"私"を見るの。








「涼香?やっぱりなにかあったんじゃない?」







「え、何で?そんなことないよ」







私は慌てて首を振る。







「涼香っていつもそう。小さい頃から悩み事はなんにも話さない。なんにも変わらないわね」







なにそれ。なにそれ。なにそれ。







意味わかんない。







ねえ、なんにも変わらないってなに?







「・・・い」








「え?」








「意味わかんない!」







声を荒らげた私に、お母さんは目を見開いた。







「小さい頃から変わってないって何!?私は変わったよ!変えられた!周りに、お母さん達に!」







「り、涼香?」







「私は、私は・・・!!」







息が乱れる。






もうやだもうやだもうやだ。






私はガタッと席を立った。







そのまま玄関へ向かう。







「涼香!どこに行くの!?もう8時よ!?」







お母さんが慌てて追ってくる。






「────っ直斗のとこ!!」






イライラしながらそう言ってドアを開け、バンッと思い切りドアを閉めながら外へ出た。








直斗の家のインターホンを鳴らす。






おばさんはすぐにドアを開けてくれた。







直斗の家に入った途端、涙が溢れてきて。






ポタポタと玄関を濡らしていく。






二階から直斗が降りてきて。







私はリビングに通された。






おばさんにタオルを渡される。






フワフワのタオルを顔に押し付ける。






おばさんと直斗は、ずっと背中をさすってくれていた。






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