君は私の人生の、輝く太陽。
エゾギク
玄関のドアが開く音がした。
それと同時に、すぅっと冷たい外の風が入ってくる。
私は、反射的に直斗から離れると、すぐに玄関へと向かった。
「・・・あの、おばさん!私────」
帰ります、そういう前に、おばさんが口を開く。
「遥香ちゃん。今日は泊まっていきな?これ、着替えね。」
渡された少し大きめのバック。
それは重そうに見えるけれど、見た目ほど重たくはなかった。
「直斗、荷物持ってあげな。」
「ん」
直斗はそれだけ言うと、私からバックを取った。
「あ、直斗大丈夫だよ。自分で持てるし。」
直斗は私の言葉なんて関係ないかのように、
「どこに持ってくの」
とおばさんに聞いた。
「客間に持っていってくれる?」
直斗はそれを聞いて歩き出す。
おばさんは直斗から私に視線をずらした。
「遥香ちゃん。客間になっちゃうけど、ゆっくりしていきなね?」
そう言って優しく笑ったおばさんに、もう何も言えなくなって。
「・・・ありがとうございます」
私は小さくペコッと頭を下げてから、直斗の後を小走りで追った。
直斗はもう客間に着いていた。
端に荷物を置いて、丁度出てくるところで。
「あ、遥香。あそこに荷物置いてあるから。」
そう言った。
「うん。ありがと。」
私、本当にここにいていいのかな。
みんなから"私"は必要とされてないんじゃないかな。
そんなことを考えてしまう。
直斗は私の頭に手を置いた。
「・・・変なこと考えんな。」
それだけ言って、リビングに戻っていった。
直斗に触れられた場所が熱を帯びる。
そんなの反則・・・っ。
私の右手が自然と頭に伸びていく。
ドキドキと高鳴る胸。
やっぱり直斗が好きなんだ。