君は私の人生の、輝く太陽。
カシャンと小さな音を立てて門が開く。
門を越え、振り返った。
また、カシャンと音を立てて門が閉まる。
「・・・直斗、ありがとう。ばいばい。」
私は微笑んでそう言った。
直斗も、そんな私を見てニカッと笑う。
「じゃーな!」
その言葉を聞いて、私は家の方を向いた。
大丈夫、そう心の中で繰り返しながら、玄関のドアに手をかけた。
手に力を入れれば、ドアノブは下に動く。
私はもう1度深呼吸をしてから、何事もなかったかのように家の中に入った。
「ただいまー!」
精一杯の笑顔で。
自分の後ろで、ガチャンとドアが閉まる。
すぐにお母さんは玄関に来た。
「涼香・・・っ!おかえりなさい」
お母さんは顔を歪めながら微笑む。
そんな顔しないで。
私は笑っていて欲しいのに。
お母さんのこと、嫌いなんかじゃない。
むしろ好きで。
でもだからこそ、お母さんに間違えられたことがなによりもショックで。
涼香は変わってない、涼香らしい、という言葉が胸に刺さるんだ。
「荷物置いてらっしゃい。お茶入れてあげるから。」
「うん!」
私は小走りで部屋へと向かう。
ねぇお母さん。
お母さんの中で、"私"ってなに?
もう死んでしまった娘?
忘れたい娘?
私は私でいないといけないのかな。
"私"に戻っちゃいけないのかな。
私は"私"に戻りたい────...。