君は私の人生の、輝く太陽。





カシャンと小さな音を立てて門が開く。







門を越え、振り返った。







また、カシャンと音を立てて門が閉まる。







「・・・直斗、ありがとう。ばいばい。」







私は微笑んでそう言った。








直斗も、そんな私を見てニカッと笑う。







「じゃーな!」







その言葉を聞いて、私は家の方を向いた。







大丈夫、そう心の中で繰り返しながら、玄関のドアに手をかけた。








手に力を入れれば、ドアノブは下に動く。








私はもう1度深呼吸をしてから、何事もなかったかのように家の中に入った。








「ただいまー!」







精一杯の笑顔で。







自分の後ろで、ガチャンとドアが閉まる。








すぐにお母さんは玄関に来た。







「涼香・・・っ!おかえりなさい」







お母さんは顔を歪めながら微笑む。







そんな顔しないで。







私は笑っていて欲しいのに。







お母さんのこと、嫌いなんかじゃない。








むしろ好きで。







でもだからこそ、お母さんに間違えられたことがなによりもショックで。







涼香は変わってない、涼香らしい、という言葉が胸に刺さるんだ。







「荷物置いてらっしゃい。お茶入れてあげるから。」








「うん!」







私は小走りで部屋へと向かう。







ねぇお母さん。







お母さんの中で、"私"ってなに?







もう死んでしまった娘?







忘れたい娘?







私は私でいないといけないのかな。








"私"に戻っちゃいけないのかな。








私は"私"に戻りたい────...。







< 68 / 101 >

この作品をシェア

pagetop