君は私の人生の、輝く太陽。
「もう寝るね。話はこれだけだから。」
私は立ち上がった。
「おやすみ遥香」
2人はそう言って、また微笑んだ。
お母さん達に"遥香"と呼ばれることが、こんなにも嬉しいなんて。
事故に会う前は当たり前に呼ばれていた私の名前が、事故後は私の名前ではなくなった。
そして、呼ばれることはなくなった。
気づいたら、私は死んでいた。
死んだことになっていた。
この世に"私"は存在しないのだと、病院で目が覚めてすぐに思い知らされた。
でもまた今日、"私"はこの世に存在することになった。
存在を認めてもらえた。
それだけで、自然と口角が上がる。
「おやすみ!」
私は"私"の部屋のドアに手をかけた。
そして、ドアを開けようとして────やめた。
私は振り返って涼香の部屋を見た。
────直斗に、言った方がいいのかな。
私は涼香の部屋の中へ入っていった。
窓を開ければ、風が吹き込んでくる。
「直斗ー」
近所迷惑にならないように、小声で呼ぶ。
カーテンは開いていた。
中で直斗がマンガを読んでいる。
「直斗」
私は直斗の部屋の窓をノックした。
────コンコン
直斗は私を見て、すぐに立ち上がった。