君は私の人生の、輝く太陽。
***
夜の7時。
おばあちゃんの家から無事帰宅した私は、両親と夜ご飯を食べていた。
今日の夜ご飯は、カツの卵とじ。
涼香と食べた、最後の夜ご飯と同じだ。
テレビからは芸能人が騒ぐ声が聞こえてくる。
でも、そんなの気にならなかった。
だって、あまりにも唐突すぎて。
一瞬、頭の中が真っ白になった。
ご飯を食べながら、お父さんが口を開く。
そして、言ったんだ。
────「遥香、改名して、遠くへ引っ越そう。」
改名ってなに?
改名って、かいみょうでしょ?
それってさ、名前を変えるってことじゃん。
なんで?どうして?
やっぱり涼香になってくれってこと?それで遥香って名前を捨てろってこと?
引っ越すってなに?直斗が隣の家じゃなくなるの?意味わかんないよ。
頭の中がぐちゃぐちゃで。
落ち着こうと思って、お茶を飲むけど味なんかしない。
テレビの音はどこか遠くて。
直斗の家のテレビの音が漏れてきてるんじゃないかと思えてくる。
「遥香?」
お母さんが私の名前を呼ぶ。
なにか言わなきゃ。
なにか、なにか。
「え・・・と、改名って名前を変えるって事だよね?」
口から出たその言葉。
こんなの、肯定されるに決まってる。
逆に、改名じゃないのなら、他の"かいみょう"の意味を教えて欲しい。あれ、"かいめい"だったっけ?
「そうだ。」
お父さんは、何の迷いもなくそう言った。
やっぱり?
知ってた、知ってたよ。
"かいみょう"は"改名"なんだって。
名前を変えること。
私の名前を変えるの?
結局"私"はいらないのかな。