聖なる夜に~涙はそっと絡め取られて~
*聖なる夜に甘いキス
……聖なる夜に。
彼と喧嘩して、別れてしまった。
ハッと我に返り、彼を追いかけて、廊下に出たのは、随分経ってからのこと。
そこに雄大はいない。
「……っ……」
言い過ぎた。
雄大がどこかいつも、上から目線で、あたしが反論すると、すぐへそを曲げること分かっていたのに。
どうして我慢できなかった?
どうして?
ホテルの廊下で、呆然と立ちすくみ。
漏れる嗚咽を堪えようと、手のひらを唇に押し当てたとき。