あの日、あの時。
なんとか自分を落ち着かせた私は「彼」の背中をじっと見つめた。
どうやら夢ではないらしい。
授業終了のチャイムが鳴ると同じクラスの真理が話しかけてきた。
「さっき数学の問題答えた人、めっちゃかっこよくない?」
胸の辺りがズキンとした。
「うん。そうだね。」
私はそう答えると席を立ち帰宅の準備を始めて教室を後にした。
真理は変に思ったに違いない。
けれどその場にいるのがなんとなく嫌だった。
私の頭の中に過るのは二文字の言葉。
嫉妬…。
自分の彼氏でもないのに…私、バカみたい。
それに「彼」に会うのは二回目なのに。
しかも一方的に「見ていた」だけ。
真理に悪いことしちゃったな。
頭を冷やそう。