ベルパーソンの君が導くのは次の恋
電話口を手で覆いながら、できるだけ小声で話す彼の口から
小学生の息子さんの名前と
都内
病院
そんな単語が所々聞こえてくる。
私は手にしていたグラスを静かにテーブルの上に置くと、さっきまでダイアモンドのように輝いていたはずの景色の寂しさに気付いて
涙が滲む。
電話をきった彼が「すぐに戻るから」と小さな嘘をついて席をたつから
思わずその腕を掴んだ。
彼の瞳に
私の涙は映らない。
「大丈夫。
今日は私達のお別れ記念日でしょ?」
涙を滲ませ頬笑む私を
たくさんの幸せなカップルと
煌めく夜景の中に置き去りにして
彼は何も言わずにこの場を去った。
一人可哀想な私をおいて・・・。
「今度は、本当に私を幸せにしてくれる人とここに来るから・・・
その時は今日よりもっと輝いてね」
窓の向こうに呟いて
私は彼を追ってロビーへ向かった。