ベルパーソンの君が導くのは次の恋
引き止めたかったわけじゃない。
最後に
彼の目に焼き付けたかった。
私という
二人の過ちの存在を。
エレベータがロビーに到着すると
彼はタクシーを待っていた。
「萩原、すまない。この埋め合わせは今度必ずするから。」申し訳なさそうに呟く彼に
私は最後そっと
その頬に唇をあてる。
目を丸くした彼。
「言ったでしょ?これでさよならよ?
私を見るたび、思い出して?」
「思い出すって・・・」
「あなたを信じてる人の存在と
あなたを好きになってしまった私のこと。
そのたびに
後悔して?」
私の言葉に苦笑いを浮かべた彼は、タクシーに乗り込む。
「理解してくれたかな・・・?」
なんて言いながら
涙は溢れる。
魔法がとけて花嫁衣装から戻った、ただのワンピースを濡らしていく。