ベルパーソンの君が導くのは次の恋
引き返すタイミングなんてわからない。
けれど
好きだから
別れを告げた事を後悔するかもしれない。
何が悲しかったのかわからない。
彼の一番になれなかったことかもしれなければ
彼を信じてる家族への罪悪感かもしれない。
部屋に引き返すことも出来ずに
泣いていた私の前に
一枚の絆創膏が差し出されたから
不思議に思って顔をあげると
さっき、部屋を案内してくれたホテルマンが、きまずそうに私に絆創膏を差し出していた。
よくわからなくて、首を傾げると
困ったように笑った彼が
「あなたの傷口には小さすぎると思いますが」なんて言うから
悲しかったはずなのに
思わず笑ってしまった。
「ありがとう。」
小さな普通の絆創膏を受けとると
彼は安心したように笑う。
「一人ではきまずいでしょう?お部屋までご案内します。
僕は客室案内係ですから」
頬笑む彼に誘導されて
暗闇だったはずの私の道が明るくなった気がした。
いつか
君のような人と
偶然出会えますように。