ベルパーソンの君が導くのは次の恋
どんなに望んでも
望むことさえ高嶺の花のように
本妻という言葉は私には夢をみるよりも
もっと遠いフレーズだ。
「こちらです。」
ホテルマンの声に顔をあげると、部長はカードキーを受取り、足早に部屋の中へ入っていく。
遅れまいとその背中を小走りに追いかけようとした時
部屋のドアを支えていた案内係のホテルマンが通りすぎようとした私の肩をそっと引き止めた。
「この階から眺める夜景はとても綺麗てすよ。
とうかお客様の癒しの一時になりますように」
そう言い、一礼をした彼はそのまま
何も言わずに踵を返した。
ホテルマンの言葉に気を良くした私は部屋に飛び込む。