ベルパーソンの君が導くのは次の恋


幸せのはず・・・なんだけどね

その最高潮の幸せはいつだって脆くて、部長の携帯が鳴るのと同時に崩落してしまう。



携帯が鳴っていても抱きつく腕を離さずにいると、部長が困ったように咳払いをするから慌てて体を離して、逃げるように私は洗面所に向かった。

遠くから聞こえる話声。

部長の声色が仕事用じゃないことから、相手が誰なのか想像できてしまう。



だって、仕事の時に部長はあんなリラックスした声をださない。


部長を困らせる事はしたくない。


けれど、奥さんとうまくいっていないと言いながらも、飼い犬のように忠実にその電話にでる部長を見ていると


私は困ってしまう。


・・・困るというか


泣きたくなる。の間違い。かな・・・。




うまくいってない。

君の前だと素直になれる。

癒される。



そんな言葉に踊らされて


いつの間にか好きな気持ちは

私の方が波高くなってしまったのかもしれない。





彼氏もいないし。

奢ってくれるし。

優しくしてくれるし。


そんな事を考えていた私の影は今はもう、どこにもいない。






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