ベルパーソンの君が導くのは次の恋


手をだしてはいけない麻薬のような恋心に

引き返すタイミングにも気づかないまま

今はもう、この恋にどっぷり浸かってしまった。



心から愛して欲しくて


部長の一番になりたくて


叶わないと知ってるから


この海に溺れながら救いを求めて必死に手を伸ばす。


それでも尚、私はどこかでいつか部長の一番になれることを信じてるのかもしれない。



カチャリと静かに洗面所の扉が開くと

「待たせたね」と彼が覗きこむ。


私は抱きつきたい気持ちを抑えて

笑って首を横に振った。




待たせたね。

じゃなくて

惑わせてほしい。


やっと君との時間。

そう言ってくれたなら

きっと私はいつまでも溺れられる。


差し伸べられた左手に私の右手を添えると


彼は暗がり初めた窓の向こうに

一つ

二つと

小さな灯が生まれていくのを私に見せてくれた。


きっと数時間後にはこの窓の向こうはダイアモンドの輝きのような景色を見せてくれるに違いない。



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