ベルパーソンの君が導くのは次の恋
「今日は私達の記念日?」
確認するように尋ねると
彼は優しい温もりが私の左肩を包む。
「君に出会えていなかったら俺の毎日は今もモノトーンのままだったよ。」
囁く声に
耳を傾けて
いつかこんなふうに毎日寄り添えたなら・・・そんな想像をしてしまう。
幼い私はこの恋のおかげで随分と大人になれたと思う。
我慢することを覚えた。
謙虚さを覚えた。
失う恐さを覚えた。
好きになったほうが負けだということを・・・覚えた。
「私のこと、好き・・・ですか?」
「勿論。決まってるだろ。」
「そろそろディナーの時間だな。スーツのままいくのか?」
「そんなわけない」
私は着替える時間さえも離れる事が惜しいけれど、笑って彼から離れる。
記念日のディナーにくたくたのスーツなんてムードに欠ける。
今日のために新調した華やかで、派手すぎない白のワンピース。