ベルパーソンの君が導くのは次の恋
「ご予約の2名様ですね。」
落ち着いた照明のレストランはカップルばかり。
私達もそういう風に見えてるかな?
窓際の私達のテーブルの真横は
見た子ともないくらい綺麗な夜景が広がっている。
「綺麗・・・」
思わず呟くと
彼は安心したように微笑んだ。
この席をとるのに2ヶ月も前から予約したんだ。
「ほんとに・・・?」
驚く私に部長は照れ臭そうに笑う。
「俺から君に似合う贈り物だと思ってくれたら嬉しい。」
普段はあまりサプライズのようなことが苦手な部長が2ヶ月も前から私のためにこんな綺麗な夜景をプレゼントしようとしてくれていたなんて・・・
まるで、私が彼の特別のような気がして
涙が溢れそうだった。
「私、幸せな女ですね」
堂々と腕を組めない関係でも
彼が私のことを考えてくれている。
それは
この立場の私にとって、なによりの贈り物のように感じた。
シャンパンのグラスを彼のグラスに近づけようとした瞬間
グラスが綺麗な音をたてる前に
彼の内ポケットから微かに携帯のバイブレーションの音が聞こえて
グラスは合わさる前に
私達のように
たった一本の連絡で重なることを許されなくなってしまった。