Sだけじゃ、たりない。
「ま、まあね」


私が控えめに返事をすると、女の子たちは納得いかないような顔をしながらも「ふーん」と言って去っていった。

本当に、恐るべしイケメンパワー……。


「…ごめん奈々、大丈夫?」


「ううん!私は大丈夫だけど、あの子達じゃなくてよかったの?」


「奈々に案内してほしいからね」


口調も何も変わらずに至って普通な顔をして言う仁。

それでも心の中で、私は嬉しくて飛び跳ねた。


「じゃあ行こっか!」


私は仁を呼んだ。仁も微笑みながら私の右側を歩く。

なにこれ…イケメンが私の隣を歩いてる!

何この優越感…!


「ここが保健室で…ここは物理教室!それで、ここは職員室と職員玄関で〜…」


私は一生懸命に学校を案内し始めた。


「ねえ奈々」


「んっ?」
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