Sだけじゃ、たりない。
でもまだ今日知り合ったばかりだし…好きとかそういうのじゃないでしょ!

心の中で自分と葛藤を続ける。


「相手の男の子、どんな人なの?」


先生に聞かれる。


「どんなって…ちょっと不思議な雰囲気。大人っぽくてかっこよくて…同じ年なんだけどそこら辺の男子とは何か違う感じ」


「そっかぁ、そしたら比べることも出来ないから難しいわね」


保健室の先生が若い女の先生でよかった、と、人生最大に感じた。

こんなに親身になって聞いてくれる人生の先輩が、他にいるだろうか。


「とりあえず、聞いてみたらいいのよ直接!恥ずかしがってちゃキリがない!奈々は可愛いからファーストキスではないでしょ?たぶん」


私は頷く。

そう、仁とのアレは、実はファーストキスではなかった。

私のファーストキスを奪ったのは、ほかの誰でもなく、幼なじみである洋介だ。

まあ小学生の頃の話だし、向こうは忘れているだろうし、なによりもアレは事故だったから、私も忘れたふりをしているのだけど。


「まあ、くよくよ悩んでても仕方ないわよっ!聞いてみなさい〜、またなにかあったら保健室に遊びに来ればいいわよ」

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