Sだけじゃ、たりない。

「こちらこそ、よろしく。じゃあ俺のことも安田じゃなくて仁でいいよ」


「わかった！仁って目が悪いの？」


「え…？ははは、面白いことを言うね目が悪くないとメガネなんてかけないよ」


初対面早々笑われてしまった。

しかしその笑顔は、想像を絶するほどにかっこよく、可愛らしいものだった。


「…っ！！」


ふいを付かれた。突然そんな風に笑われるなんて思わなかったし…しかも本当にかっこいい！なにこれ！この世のものとは思えない…！


「え、えっと、わからないことがあったらなんでも聞いてねっ」


絶対今の私は赤面していると察したら、なんだか恥ずかしくなったので仁の顔を見れず、黒板の方を向きながら早口で言った。

うわ〜。なんか嫌な奴って思われたらどうしよう…！？第一印象最悪の女になったらどうしよう…！？


「あのさ、転校してきたばかりで、まだ教科書が届いてないんだ。毎時間見せてもらうことになるんだけど…いい？」


「あ、そうだよね！もちろんいいよ〜」


私の左に座っている仁は、本当に顔が整っている。

少し長めの黒髪マッシュとメガネがとてつもなくマッチしている。