Sだけじゃ、たりない。
「整列って…なにするの?」


仁に聞かれる。


「ああ、そっかわからないよね!ん〜と、なんだっけ【シギョウシキ】やるんだよ!」


「【始業式】に頭の中で変換できてないぞ」


突然、洋介が口を挟んできた。


「ううう、うるさいなっ、始業式くらいわかってるよ、漢字!」


「ハハハッ、ウケる。なあ安田、こいつ本物のアホだからあんまり相手すると疲れるかもよ。俺は神田 洋介!よろしくな〜」


「アホなのかぁ、おもしろいね。何回アホなこと言うか数えてみようかな?」


「も〜っ仁まで失礼だし!」


ひとしきり笑った後、廊下に整列する。

チラッと仁はの位置を確認する。仁はやはり、ズバ抜けて身長が高いようだ。一番後ろにいても仁の頭がよく見える。

私は身長158cm。ごく普通だ。整列しても真ん中より少し後ろ寄り、という微妙な位置。

仁は180cmくらいあるんだろうなぁ、仁そのうちきっとモテ始めるんだろうなぁ。

整列状態のまま体育館へ向かう。

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