Sだけじゃ、たりない。
体育館に全校生徒が整列すると、始業式が始まった。

始業式とか…眠すぎ。


「ねえ…あの身長高い子、かっこよくない?初めて見たんだけど…」


私の横に並んだ二年生の先輩が、コソコソと話しているのが聞こえる。

二年生の先輩の目線の先にいたのは、仁だった。

早くも安田ファンができそうな予感…!

前の高校でもモテていたんだろうなぁ。

そういえば仁はどうして転校してきたのだろう。もう少し仲が良くなったら聞いてみても大丈夫かな…?


「始業式を終わります。全校生徒は起立してください」


チャン、チャン、チャンと一定のリズムとメロディのピアノに合わせて、礼をする。

3年生から順番に、教室に戻っていく。

私のクラスは1年A組だから、一番最後だ。

ようやく教室に戻ると、仁が私に話しかけてきた。


「ねえ、奈々。始業式って疲れるね…ずっと話聞いてなくちゃいけないんだね」


「…?そうだよ、始業式って初めてなの?」

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